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正伝寺この正伝寺の方丈は伏見桃山城の遺構で血天井があり、伏見城の御成殿と呼ばれていた建物を本堂としたものです。この本堂、現在は重要文化財に指定され、その東には白砂敷きの庭園が作られています。庭園は江戸初期に小堀遠州によって作庭されたものだといいます。はるか遠くの比叡山を借景としていますが、遠すぎるせいか写真でははっきり写らない程です。下中央の画像は室内から撮ったものですが、明らかに正方形の開口になっていることがわかります。同じく伏見城の遺構を書院としている宝泉院が庭園に対して1:2の開口ですから、当時の日本の美意識がこのプロポーション(比率)にあったことが伺えます。で、右下の画像は標語?この意味するところはなんなのでしょうか。庭園は獅子の児渡しといわれる平庭で、つつじの刈り込みの7・5・3個という配置されかたから、龍安寺の「虎の子渡し」に対して、「獅子の児渡し」といわれているものです。龍安寺が石のみを配した緊張感のある庭園であるのに対して、こちらはツツジですから幾分やわらかな印象があります。白砂とツツジという少ないモチーフであるので、最初方丈へ入った時には素っ気無いように感じますが、少しいるといつまでも居たくなるほど心が落ち着くのです。今回訪れた時もしばらく庭を眺めている内に放心状態(頭真っ白)になっているのがわかりました。白砂、ツツジ、白壁、借景のそれぞれの要素の構成は、座して見ていると空気(空間)が止まっているように感じるのです、コンテンツの一番左上の場所に座ればもはや動くことができなくなります。正伝寺は西加茂の山の中にあり、うっそうと樹木が茂った参道を少し登ったところに作られています。その参道の樹木は、庭園の借景となり白壁より少し高い位置に見えてくるのです。ツツジの時期には花が咲くでしょうが、その状況を拝観していませんが、こうした緑と白だけの単純ながら計算された空間こそが、正伝寺の最大の特色といえるではないでしょうか。 正伝寺 Syouden-ji 庭園 小堀遠州 建設 承応17年(1653)移築 用途 寺院 拝観料 300円 9〜17時 MAP 所在地 京都市北区西賀茂北鎮守庵町 Back 0 |