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ピレリ・ビル Torre Pirelliミラノ中央駅前に建つのがこのピレリ・ビルなのですが、イタリアにおいて第二次世界大戦後すぐに建てられた高層ビルなのです。このビルは徹底した工業化によって作られたといいます。しかし、実際に工業化によって作られたのだとしても、決して現在のように製品規格に縛られた工業化とは違いました。そこにはこのビルだけのための規格があるように思えたからです。窓枠のプロポーションなどは見た目にバランスがよく、工業というより工芸的美術品といった要素があります。そう感じさせるのはジオ・ポンティの手によるところがやはり大きいでしょう。ここにはサンカルロ病院礼拝堂と同様の「建築は結晶である」とするポンティの美意識が具現化していました。しかしこのビル、どこかのビルによく似ています。そう青山タワービルです。ビルの規模こそ違いますが、妻部が三角形になっていたり、垂直に開口があるところなど...そのままと言ってもいい程です。サンカルロ礼拝堂同様やっぱり平面は横長の六角形。ほんとこの形にこだわり続けた人です。結晶の形=六角形なのでしょう。すごく単純ではありますが、その六角形のとてもバランスがいいんです。ここがポンティのすごいところですね。単純な幾何学を形を単なる幾何形ではなく美しい幾何形にしていますから。そのピレル・ビル、フラット面に微妙にむくリが付けられ垂直に2本の縦筋が設けられています。ですから正確には六角形と基本とした十角形となります。こうして見える正面の2本の筋、これにより立面は垂直に3分割されることになります。これが実際よりもこのビルを細長く見せているのです。また側面から見るとむくりは見えず塔にしか見えません。こんなのがよく建っていると思いますよ。側面は細く見えても実際にはずっと横長なんですから。こんなに薄い高層ビルは始めて見ました。すごいです。地震の多い日本ではまずみることは出来ないでしょうね。 ピレリ・ビル Torre Pirelli ジオ・ポンティ Gio Ponti 建設 1955〜58年 用途 オフィス・ビル 所在地 イタリア ミラノ Milano, Italy Back0 |