京都っていうのはどこもかしこも道が狭くて人が溢れてて、夏場に行くと自分の発する熱と周囲が発する熱で、
なんだかもう、グダグダに汗かいて疲れちゃったりするのである。
この博物館も、そんなグダグダな場所にある。
地下鉄烏丸御池駅で降りて、5番?6番?出口か?を出る。
出ると烏丸通り、ここは大通り。
NTTの角を左に折れる。
あぁ。もう。道が狭い。人がうざい。かんべんしてくれ。
若者よ。かんべんしてくれ。
河合塾があるためだかなんだか知らないが、無駄な熱を持つ若者が、バッファローの群れのごとく前方からぶち当たってくる。
チクショー。こんな所で倒れたら、踏みつけられてペチャンコだ。負けねぇーぞ。
ふんばりながら歩いて、やっとそれらしきものが見えてくる。
重要文化財であるところの建物だ。
しかし、甘いね。ここじゃない。
入り口はここじゃない。角を曲がってまだ歩く。むこ〜に見える現代建築が目指す建物だ。こちらが本館。
ヘトヘト。
入り口入るととまどう。あまりに漠然とした空間で。
展示を見るのであれば、入り口入って左側に視線を向ける。
するってぇーと、チケットを売っているお姉さんと目があいます。
そこでチケットを手に入れて、エレベータで4階へゴー!
4階が特別展示室。これまた漠然とした空間。
3階2階は京都に関した美術工芸や歴史の展示室。渋い。マニアにはたまらん能面。
展示の仕方はすごく考えられてると思うけど、どうも学外見学に来たみたいでお勉強な雰囲気。
「みんぱく」こと民族博物館みたいな楽しさにはちょっと欠ける。
2階から別館へ渡ることができる。
この別館がっ!
渋いっすねぇ。旧日本銀行京都支店の建物で、重要文化財になっているらしい。
少しだけ展示もしてる。でも、圧巻はホール。
2階ぶち抜きのホールで、中央に立って、天井見上げて一周ぐるっと周ってみると、目が回る。
いや、そうじゃなくって、感激である。
光沢のある茶の天井、柱、手すり。白い壁。使っているのは白と茶、2色のみ。
そして目障りにならない程度の装飾。
シンプルで極上のデコレーションケーキのよう。おいしそうなホール。
そして、建築を堪能して、本館の1階に戻る。
1階は、受け付けとチケット売り場と、情報コーナー、それに、「ろうじ店舗」というのがある。
「ろうじ店舗」とは何ぞや?
「江戸時代末の京の町並みの表構えを復元」して、食事やショッピングができたりする一角。それが「ろうじ店舗」
ここでお茶もできるのだけど、どうせお茶をするのなら、別館でお願い。
■ cakeset ■
別館にも喫茶室があります。昔は金庫室だった場所だそうです。大判小判がザックザク。
素晴らしいです。明治の時代にトリップします。超おススメです。大好きです。
喫茶室の前に置いてある白いテーブルセットで、コーヒーを飲みながら新聞を読んでいる人がいます。
白髪、口ひげ、超ネクタイです。
私がフラッと喫茶室に入っていくと、後ろでガサガサッと音がして、「いらっしゃいませ」と言ってくれました。
喫茶室は天井が高くて、クッションのいいソファーや、高いんだか安いんだか分からない、派で目な調度品がおいてあります。 この成金趣味が素晴らしい。
ケーキセットを頼みました。1,200円。ちょっと高い。
でも、ケーキはトレーにのっけて選ばせてくれて、かつおいしい。コーヒーもおいしい。
給仕はすべて先のおじ様がなさってくれます。恐縮です。
空間には音がない。空調の音しか聞こえない。静か。
なんというか、もう、時間は私だけのためにある!そんな気分になる。
森鴎外や永井荷風、そんな文語体の本を分かったふりして読みたくなる。
ソファーに深く腰掛けて、本を読んだり読まなかったり、ウツラウツラしてみたり、一日ここで過ごせれば、なんと贅沢。
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