DATA

下山芸術の森発電所美術館
Nizayama Forest Art Museum
設計(改築):矢後勝/三四五(みうい)建築研究所/マルティネス・ラペーニャ+エリアス・トーレス
所在地:下新川郡入善(にゅうぜん)町下山364-1
用途:美術館
延床面積: 678.35
最寄の地図
新屋の信号を朝日方面に直進し、次の角を左(「下山芸術の森」と案内板あり)
JR北陸本線入善駅下車タクシー10分
北陸自動車道・黒部インターから車で15分
訪問日:1999年11月21日
作成日:2000年01月24日
最終更新日:2000年01月30日
作成者:yamamoto
管理:Mitsuo.K
2002年06月08日

|
入ると、ハッとする。
ハッとして、ほんの20分前にきられたスピード違反のショックも一瞬忘れる。視界が、ガッと開ける。
広さは、想像してたよりも狭いくらいなんだけど、高さが、高い。
予想してたのよりも大きい空間にいきなり出会うと、その、準備してなかった分だけ、視線が泳ぐ。
その視線のドギマギ感がおもしろいんだけど、すぐに慣れて高さを確認できてしまうところが、
人間っておもしろいんだかおもしろくないんだか。便利なのか便利でないんだか。

黒部インターを降りて、15分程車を走らせるとあります。
随所に「下山芸術の森」という看板が出ているから分かりやすい。
周り一帯田園。砺波平野も近いこの入善町も、やはり米所か。
「発電所美術館」という名が示す通り、その昔、発電所として機能していた場所。
ゲートをくぐると、その赤レンガ建築の背中が、ドッシリとあります。
こちら側が正面なのかもしれないけれど、この落ち着き具合と風格は、背中。
人生力一杯生きて、隠居して、お茶を飲む。
広い背中には、誇りと威厳と疲労と寂しさと。

「できるかぎり発電所の面影を残す形で改装」したとあるように、内部はむき出しの鉄骨。
特に間仕切りされるわけでもなく、だだっぴろい空間が拡がる。
壁に残された導水管の穴、2つ。ポッコリ暗い闇へ通ずる。
奥には、巨大な発電用のタービンと、スイッチ類の並んだ器機。
等間隔に並んだ窓から入る陽の光が、ぼんやりそれらを照らして、どーもなんだかいい感じ。


広い空間、3/4くらい奥に階段があり、登る。
ここも展示空間。なかなかオツだ。
1階の展示では、大モノ作品は存分にその魅力を発揮できるだろうが、 小さな作品はどうしてもインパクト的に負ける。
2階は床面積も狭いし、天井も低い。
視界がコンパクトにまとめられるから、その中でなら小さめの作品も生きる。
それに、1階も見下ろせる。
別の角度から1階の作品を見ることができる。これまたちょっと得した気分。
2階には、やはりスイッチ類のついた器機を壁にした休憩コーナーもある。
発電所の雰囲気一杯の中、展覧会のチラシを物色する。その違和感が楽しい。

入り口入ったすぐの受付の後ろには、グッズ売場も小さいながらあります。
ここに作品もあったりするので、要チェック。
外に出ると、木造の階段が先の見えぬ上まで伸びる。
階段につけられた屋根は、なだらかに、急角度に、角度を様々に変えながら、シュルシュルと伸びていく。
シュルシュル階段をドッコラヨッコラ上る。
途中、巨大な白い幼虫のような3本の導水管を真横に見つつ登る。

登り切り、眼前に拡がる真っ平らな緑。
三角定規や分度器やコンパスを組み合わせて出来たような展望台を中心に。
右側、元管理棟であった建物を改装した、赤レンガのレストラン。
左側、平面用と立体用2棟のアトリエ。
緑と青い空の下、3つの建物が自己主張することなくチンマリたたずむ。

ハァーーー。フゥーーー。ハァーーー。空を見上げて深呼吸。
この場所も、美術館も、田んぼの中。
同じ地平にあって無理してない感じが落ち着く。

ワタシ、この美術館好きです。
この美術館では、その魅力が十分生かされた大モノ作品を見ることができそうです。
年4回程度、独自な企画の展覧会を開催しているようです。
おもしろそうであれば、毎回行ってみたいと思います。安全運転で。
でも、私が行った日曜日。静かでした。
お天気最高の日曜日の午後1番。
館内にいた約1時間。私の他に訪れたのは2人。
大丈夫なのでしょうか。
長くながぁ〜く、美術館として余生を送って欲しい。そんな赤レンガ建築の「発電所美術館」でした。
■ cake set ■
レストラン「ポンム・マム」
美術館と同じ赤レンガの建物。
内装もメニューも味も若者向け。
町のかわいいランチ屋さん風。女の子が喜びそう。
私は、パスタセットをいただく。1500円くらいか。
前菜、サラダ、パン、ワタリガニのパスタ、コーヒー、デザート。
デザートは3種類から選べます。私は黒ゴマアイス。
他に、デカイケーキがあるのだけど、若者がこれを食べる。食べる。
凄いね。アメリカ人を見るような眼で見てしまう。
富山県目次に戻る |