1994年(平成6年)で京都は建都1200年を迎えて、京都各地でいろんな催しがあったのは、ついこの前の話。建築分野でも、このイベント年にいろんな動きがありました。その1つが、この磯崎新(いそざき あらた)設計の京都コンサートホール。JR京都駅ビルも、たぶん記念行事の1つだったのでしょう。地下鉄東西線も1994年に間に合わなかった。
この京都コンサートホールが建っている場所は、地下鉄烏丸線(からすません)の「北山駅」上がってすぐの場所。この場所は日本を代表する建築家、安藤忠雄、高松伸、磯崎新の建物が北山駅を中心にやたら多い。
安藤忠雄設計の陶板名画の美術館、高松伸のシンタックスビル(テナントビル)、そして今回紹介する磯崎新の京都コンサートホールが、駅から半径50m以内に密集しているのです。まさに魔の三角地帯。
今回は、その1つの京都コンサートホールの話。
今日は雨上がりの次の日なので、空がきれいです。でも最近、日が落ちるのも早いから、建物東面の写真が逆光になって上手く撮れない。円柱部分を見ながら玄関に向かって進む。今回、ココに来たのは初めてだから、どこに行けばいいのかわからない。まぁ、コンサートホールだから玄関の写真だけでも撮って帰ろう、と思いきや「ん、開いてるぞ。ではでは、おじゃまします。」
とにかく、折れ曲がる移動が多い。案内図も載せておきます。今は青線上を歩いて玄関に向かっています。折れ曲がるところで先ほど紹介した円柱棟の写真。スタート地点が、このページの先頭に貼りつけた写真。そんな配置関係です。
えー、また曲がるのですか。玄関を入ってすぐに左に曲がって、円柱部分の中に進んで行くと、なーるほど。円柱の中は大きなramp(ランプ:斜路、スロープ)になっていたのです。その下を有効に使うために喫茶店が入ってる。ホールの入口は、どうやら2階のようですね。ホールに行くためにこのランプをぐるっと一周するみたいですわ。
いつも思うんやけど、このランプというのは、実に疲れる道ですね。
うわーっ。どこにも踊り場が無いぞ。滅茶苦茶疲れるんですけど。一般に車椅子の斜路勾配は1/12と言われてる。つまり、12m進んで1mの高低差を移動するということですわ。この建物の階高を3.5mと想定すると、斜路の道のりは最低42m。いい運動ですな。迷わずエレベーターに乗りたいところ。
入口からじゅうぶん歩いたのですが、目的地までちょっと長過ぎではないでしょうか。皆さん、コンサートホールに来てるのに、本目的地に到着するまでに疲れてしまいます。
さて、入るのはここまでにして再び外へ。
さっき見えていた喫茶店が外からも見える。円柱の周りは水が張ってあり、その水面近くに喫茶店からの目線が来るようになってた。水面を見ながらのお茶も良いかも知れない。この喫茶店は、コンサートホールに行く用事が無くても、直接は入れるようです。もしかしたら食事もできるようなメニューでした。
建築家の建物は、こういう演出にかけては天下一品。さっきの「折れ曲がり」もそう。わざとあんな事をしてるとしか思えない。しかし、ちょっと演出が長すぎたかな。これがシークエンスです。sequence(シークエンス)。連続している一連の景観現象で、古くは回遊式庭園に見られるように、観客の動きにしたがって次々とシーンが変化し、連続して展開されていくこと。
シークエンスが存在するのは、建物の中だけではなく街並みにもあります。また機会があれば違うページで紹介します。
今回のコンサートホールを建てた時、磯崎新氏は面白い論文を発表していた。なんでも京都の風水に引っ掛けて設計した
とか。さすが建都1200年記念イベントです。
風水で重要な船岡山を一点、そこから真東に下鴨神社があり、その距離を賀茂川と同じ角度で延長すると、その先には上賀茂神社。そこに京都コンサートホールの軸線が走ってる
画像上に赤線で示した部分がその軸線。だから喫茶店の入口となる橋が辺に斜めにあることになる。
大げさな割には普通でした。