神戸は緑の多い街ですね。前面道路いっぱいに建っている京都の街とは随分雰囲気が違います。

さて、清水栄二の設計した建物を追っかけて、今回は御影公会堂にやってきました。はずかしながら、僕は公会堂というところが一体何をする建物なのかじつはわからなかったわけでして、読んで字のごとく公共の会議場かなにかだとは思っていました。公共の会議場なんて誰が利用するんだろう、という疑問を持ちながら公会堂にやってきたわけですが、なんだか中がにぎやかしいのです。

公会堂の西側ファサード西南角から公会堂を見る

外観。わかりやすい建物です。近代建築はコテコテ装飾の建物だけとは限りません。平面と外装がまったく関連のないパッケージ・デザインに疑問を持ち、それに反抗するかのように立ち上がった分離派の時代。昭和初期の建物はもうご覧のように平面と立面が一致した建物が主流になってきます。
まだ建物に入ってないのに、なんとなく構成が見えてくるんです。公会堂の見学に来て上の画像を見たら、どこに講堂があるかなんて容易に分かります。僕はそんな時代の建物が設計の基本じゃないのかな?っていつも思います。建物の内面から出てくる魅力を感じるような気がするのです。それは、表面を化粧で覆い隠した時代と比較しての話ではありますが。

階段室のしっかりとした柱階段室の天井から自然光が入ってくる

にぎやかしい中に入ってみましょう。
正面に階段。これは毎度お話しているようにエレベータやエスカレータの無い時代、階段は主人公なわけです。階段を上がって奥が講堂、手前は小会議室。高さを必要とする室とそうでない室をスキップフロアーで解決しているのですね。結構明るい階段でしょ?天窓があるんです。天窓とスキップフロアー。やっぱり主人公はいい役をもらってます。
しかしデカい柱だなぁ。そりゃ、あの阪神大震災でも耐えた建物ですからお墨付きですよ。

チラシをもらってきました。
えーっと、550人収容のホール、100人収容の和室と諸室2箇所、その他40〜20人定員の合計8室。事こまやかに値段が書いてあります。「へぇ、貸しホールなんだ。」それが公会堂だっちゅーの。ごめんなさいねぇ、利用したことが無いから公会堂というものが、ピンと来ないんですよ。
かなり利用されているんですね。各部屋から笑い声や拍手が聞こえてきました。いいなぁ、楽しそうで。

南側ファサード屋上のステージらしきところから南を眺める

正面玄関。魚崎小学校とよく似ています。でも縦ラインを強調したところは階段ではありませんでした。ついでに屋上まで見てきました。うーん、これは一体何をするものなんでしょうか。演説ステージか。ちょっと分かりません。角地だから見た目のバランスの問題なのかな。

1階からドライエリアを通して地下1階の窓枠を見る

地階まである。
これは食堂の窓を地上から覗き込んだもの。中休みで食堂は閉まっていました。家に帰ってから「御影公会堂を見てきた」という話を姉としていたらあそこのオムライスは美味しいのよーだってさ。オムライスを食べたいが為に御影公会堂に行く姉。でも、あの公会堂の雰囲気は初めてだったら怖くて入れないと思うよ。
まあ、これを読んだあなたは、安心してオムライスだけを食べに御影公会堂に行けますね。

地元密着型の御影公会堂は、みなさんからとても愛されているようでした。

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建物情報

建物画像
神戸市立御影公会堂
建物名
神戸市立御影公会堂
読み方こうべしりつ みかげこうかいどう
設計
清水栄二
読み方しみず えいじ
所在地
兵庫県神戸市東灘区御影塚町4-4-7
用途
公会堂
竣工
1933年(昭和8年)
構造
RC造3階建

作成者 Mitsuo.K
個人サイト Mの憂鬱
作成日 2000年05月20日
更新日 2008年07月12日
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